表紙は右?それとも左?

ヨコ書きタテ書きの冊子数冊のPH

最近あるパンフレット作成の案件で、中面のコンテンツ的にヨコ書きが自然だったのですが、外面の表紙は見開き左側にして作成して欲しいと言われました。実はこれ、その通りに作成すると違和感ありありのパンフレットになってしましまいます。

身の回りの人が、以外とこれに関してのルールをご存知無いようなのでちょっと書いておきたいと思います。

雑誌やパンフレットなどの冊子は本文の組み方をタテ組にするかヨコ組にするかで見開きで表紙の位置が決まってきます。タテ組の場合は見開きで表紙は左側(右開き)、ヨコ組の場合は表紙は右側(左開き)へと…。これは人が自然に文章を読む視線の流れとページを開く方向から決まってしまうのです。

国語の教科書と算数や英語の教科書を思い出していただけると理解しやすいかと思うのですが、国語の教科書の本文は基本タテ組ですので左から右へとページを開く右開きになっており、表紙は見開きで左側です。
また算数や英語のようにヨコ組が基本の場合は右から左へとページを開く左開きになっています、もちろん表紙は見開き右側で。

最近の雑誌はヨコ組、タテ組が混在しているので右開きでも左開きでもどっちでも良いじゃんと思われるかもしれませんが、実はちゃんとルールに則って組まれており、DTPやWebなどのレイアウトの根幹に大きく影響するものですのでレイアウトをきめる際にまず最初に考えるべきものです。

右開きの雑誌は写真やイラストが大きくて注釈文がヨコ書きなことも多く、タイトルのヨコ書きも多いですが、右端にタテ組のタイトルやタテ組の本文のページも必ず存在します。たいてい見開き単位でヨコ組主体、タテ組主体のページかが決まっていますし、タテ組主体のページの割合が多いです。
picture 2014-03-12 21.09.58タテ組の本は見開くと表紙は左側

左開きの雑誌は見栄え的なデザインの場合を除いて、タイトルや本文はすべてヨコ書きです。タテ組主体の見開きやページはほとんど存在しません。

タテ組主体のレイアウトの場合、人の視線は上から下に、右から左へNの字に沿って動きます。コラムがあればコラムに応じてNにそって読み進め、コラムを上から下へと進んでいきます。日本語の場合はこの流れが古来からの自然な視線の流れで、それは現在でも受け継がれています。

普段何気なく読むマンガは日本の場合はほとんど右開き、つまり本文はタテ組です。インパクトのあるヨコ組やタイトルが印象深くてヨコ組タテ組を意識されないと思いますが、マンガの吹き出し(セリフ)を見てください。ほぼタテ組のはずです。またマンガのコマを読む順番も右上から左下に自然と流れます。これは日本語や中国語などのタテ組の文化の人の自然な視線の流れなのです。

タテ組のレイアウトは主に小説やマンガ、雑誌など、人に文章を読ませるものが多いようです。

picture 2014-03-12 21.10.28ヨコ組の本は見開くと表紙は右側

ヨコ組主体のレイアウトの場合、人の視線は左から右へ、そして上から下へZの字に沿って動きます。英文など外国の文章がこの流れになりますので、国際化が進んだ現在では日本語でもこの流れで当たり前に読めるようになっています。(太平洋戦争以前は右から左だったようですが…)

ヨコ組のレイアウトはレクチャー本や商品カタログやパンフレットなど、数式や図を多用して読む人の理解を促すものが多いよう感じます。

ちなみにアメコミなどの英語圏のマンガは吹き出しが当然英文なので左開きです。コマ割りも左上から右下に流れていきます。

Webに関してはシステム上、ほぼヨコ組しかあり得ませんが、印刷物などのDTPでは、この基本を踏まえておかないとチグハグなものを制作してしまう恐れがあるので注意が必要です。

気軽にヨコ組をタテ組に、右開きを左開きに変更するようおっしゃるクライアントさんもいらっしゃいますが、これほんとに大変なことになるのです!(私も過去にそんな変更を食らって絶望したことが数回あります…oTZ)

ちなみに、問題のパンフレットの案件はリードコピーなどをタテ書きにし、説明の流れを順番を右から左に流れるようレイアウトして、何とかOKをもらいました…(冷や汗)

考えてみるとこんなふうに文章の組み方が2種類存在出来るのって日本や中国、韓国だけじゃ無いでしょうか。その分レイアウトの可能性が広がっているのかな…そう考えるとデザイナーとして喜ばしいことなのかなとも思いますが。

こういった基本的なことが以外と勘違いされていることもあるので、普段から注意しておきたいものです。

追伸

こんな偉そうな事を書いておきながら、自分は新聞を読む際、普通に左から右方向へページを開いていました…。
子供のころにテレビ欄から読み出してそのまま中身を読んでいたクセが残っているようです。
今朝まで気付かなんだ……習慣とは恐ろしいものです(笑)